救急救命士の薬剤(エビネフリン)投与の開始について
平成18年5月19日
大阪府医師会長
酒井国男
 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます.
 平素は、本会業務とりわけ救急災害医療につきましては、格別のご協力を賜り厚くお礼申し上げます.
 さて、平成17年3月10日付厚生労働省医政局長通知「救急救命士の薬剤(エビネフリン)投与の実施について」等により、平成18年4月1日より、メディカルコントロール体制のもと、必要な講習・実習を修了する等の諸条件を満たした救急救命士が薬剤(エビネフリン)投与を実施することが認められております.
 大阪府においても、関係医療機関各位のご協力を得て救急救命士の講習・実習が行われており、本日現在、大阪府内で計98名の救急救命士が、必要な教育を修了し、救急業務として薬剤(エビネフリン)を投与することについて大阪府救急業務高度化推進連絡協議会会長から認定を受けております.
 つきましては、このたび、別紙のとおり大阪府より本会あて通知がありましたのでご逮絡申し上げますとともに、貴会会員各位へご周知賜りますようよろしくお願い申し上げます.
担当事務局:大阪府医師会地域医療部地域医療三課
                           〒543-8935大阪市天王寺区上本町2- 1 -22
                                   TEL 06-6763-7003 / FAX 06-6765-3633
救急救命士による薬剤(エビネフリン)投与の開始について(通知)
平成18年4月3日
大阪府健康福祉部
                               医務・福祉指導室医療対策課長
                                 
 標記について、大阪府総務部危機管理室長から、別紙「救急救命士による薬剤(エビネフリン)投与の開始について」により、関係者に周知するよう依頼がありましたので通知いたします.                  
 つきましては、当該業務をご理解のうえ、ご協力等よろしくお願いいたします.
 救急救命士による薬剤(エビネフリン)投与の開始について(依頼)
 平成1 8年3月20日
総務部危機管理室長
 標記に関しては、 「救急救命士の薬剤(エビネフリン)投与の実施について」 (平成1 7年3月1 0日付け医改発第0310001号厚生労働省医政局長通知)により、メディカルコントロール体制の充実強化の下、必要な講習・実習を修了する等の諸条件を満たした救急救命士に限り、心臓機能停止状態である傷病者に対して、医師の具体的指示により本年4月1日から実施できるものとされています.
 そのため、大阪府救急業務高度化推進連絡協議会、各地域メディカルコントロール協議会および大阪府下各消防本部において、救急救命士の薬剤投与の実施に向けて取り組んでまいりましたが、このたび一部の救急救命士が所定の講習・実習を修了するはこびになりました.
 つきましては、別紙の項目について、救急医療機関、大阪府医師会、関係協議会など関係方面へ周知願います.

連絡先                                       
 担 当 (メールアドレス)                         
大阪府総務部危機管理室消防救助課消防士同グループ   
矢田 (YadaY@mbox.pref.osaka.lg.jp)                   
   植澤 (UezawaA@mbox.pref.osaka.lg.jp)               
電 話   06-6944-3947                          
  FAX    06-6944-6654        
                 
 1 平成18年4月1日から、薬剤(エビネフリン)投与が行われた傷病者を、救急医療機関に搬送することがあります.
  ・救急救命士の薬剤(エビネフリン)投与に関しては、必要な講習・実習を修了する等の諸条件を満たした 救急救命士に限り、心臓機能停止状態である傷病者に対して、医師の具体的指示により平成18年4月1日から実施できるものとされています.
  ・大阪府内においてもメディカルコントロール体制の下、救急救命士の薬剤(エビネフリン)投与の実施に向けて取り組んでまいりましたが、このたび一部の救急救命士が所定の講習・実習を修了するはこびになりました.
  ・ 4月1日以降は、薬剤(エビネフリン)投与が行われた傷病者を搬送する場合があります.

 2 可能な範囲で、救急医療機関(初療医師)の意見を出してください.
  ・救急救命士の薬剤(エビネフリン)投与について事後の医学的検証を行うにあたり、静脈路確保の手技や薬剤投与の適否について正確に把握する必要があります.そのため、薬剤(エビネフリン)投与を行うことができる救急救命士が心臓機能停止状態である傷病者を搬送した場合には、今までの救急活動記録票(検証票)に加え、検証票別紙を作成することになりました.
  ・検証票別紙は、従来から気管挿管(気管内チューブによる気道確保)を行ったときに作成していた様式を、薬剤(エビネフリン)投与についても記載できるよう、改正したものです. (別添の検証票別紙および記載要領をご参照ください.)
  ・新しい検証票別紙には、事後の医学的検証に資するため、今までと同様に初療医師所見欄を設けてい ます.気管挿管、静脈路確保および薬剤投与の実施に関する所見について消防機関から依頼がありました際には、ご協力願います.

 3 薬剤(エビネフリン)投与は、一部の救急救命士に認められた行為です.
  ・薬剤(エビネフリン)投与は、所定の講習、実習を修了した救急救命士に限定して認められるものであり、全ての救急救命士に認められたものではありません.
  ・なお、大阪府救急業務高度化推進連絡協議会においては、講習及び実習を修了した救急救命士へ、認定証を交付しています.                                                                                                               
検証票別紙(気管挿管・薬剤投与対象)
気管挿管及び薬剤投与実施対象傷病者にかかる検証票別紙記載要領

 大阪府救急業務高度化推進連絡協議会会長の認定により気管挿管または薬剤投与の実施を認められた救急救命士(以下、 「認定救急救命士」という. )が下記に該当する傷病者を搬送した場合は、検証票別紙に記載する.

1 記載の対象
(1 )気管挿管認定救急救命士
  搬送した全ての心肺停止傷病者

(2)薬剤投与認定救急救命士
  搬送した全ての心臓機能停止傷病者

2 検証票別紙の取り扱い
  認定救急救命士が該当する傷病者を搬送した場合、医療機関において別紙に必要事項を記載して、搬送先医療機関初療医師に所見の記載を依頼する.記載済み
  検証票別紙は消防署所に持ち帰り検証票に添付する.

3 記載要領
(1)気管挿管・薬剤投与指示要請医療機関欄
   認定救急救命士が気管挿管や薬剤投与など特定行為を実施するために指示要請した医療機関名を記入する.
   薬剤投与の初回投与後2回目以降の指示要請医療機関が異なる場合など複数の医療機関から指示要請を受けた場合は最下段の「備考」欄にその旨記載する.

(2)気管挿管に関する項目の記載要領
 ア 気管挿管適応・不適応理由欄
 (ア)気管挿管の適応
   原則として、成人の心臓機能停止かつ呼吸機能停止の状態で、以下の症例を気管挿管の適応とする.
   @バックバルブマスク換気では、人工呼吸が困難な症例
   A搬送中にバックバルブマスクによる人工呼吸では、確実な換気ができない
    症例
  記載例)
 ・溺水の心肺停止傷病者でバックバルブマスクにて換気が困難なため、医師の指示により気管挿管を実施した.
 ・救急車停車位置から傷病者の位置が離れており、車内収容まで時間を要し、バックバルブマスクでは確 実な換気ができないため、医師の指示により気管挿管を実施した.

 (イ)気管挿管の適応外
   @頚髄損傷が疑われる症例
   A開口困難および喉頭鏡挿入困難な症例
   B喉頭展開が困難、あるいは声門が確認できない症例
   C気管挿管の手技に時間を要する、もしくは要すると考えられる症例

  記載例)
  ・気管挿管の指示を受けたが、舌浮腫、咽頭閉塞により声門が十分に確認できなかった.
  ・墜落外傷の心肺停止傷病者で、頚髄損傷が疑われたため.
  ・気管挿管の指示を受け、喉頭展開を試みたが、声門が確認できなかった.

 イ 挿管成功、中止または抜去欄
   気管挿管の具体的指示を受け成功した場合は挿管成功の□に「レ」を付す.
   気管挿管の具体的指示を受け、一旦は挿入した、または挿入を試みたが、逮中で中止または抜去した場合は、中止または抜去の□に「レ」を付す.

 ウ 中止または抜去理由欄
   気管挿管を中止または抜去した理由を記載する
   記載例)
   ・気管挿管後、心窩部でゴボゴボと音が聞こえ、胸壁が上がらないため、食道挿管と判断し、気管チューブを抜去した.

 (3)薬剤投与に関する項目の記載要領
 ア 静脈路確保欄
    静脈路確保の実施について「確保」 「中止」 「未実施」から該当する口に「レ」を付す.
    「確保」とは静脈路確保の成功、 「中止」とは試みたが施行できなかったもの、 「未実施」とは医師の指示や時間的な関係から施行しなかったものをいう.
    なお、静脈路確保を中止または未実施の場合はその理由を記載する.

 イ 薬剤投与欄
   (ア)薬剤投与欄のうち適応・不適応について、該当する心電図の□に「レ」を付し、年齢を記載する.
      「心静止(目撃無)心電図変化」とは、心肺停止の目撃者がなく初期心電図は心静止であったが、観察、処置の途中で薬剤投与の適応波形に変化したものをいう.

   (イ)非投与理由欄は静脈路を確保し薬剤投与適応であるにもかかわらず、投与しなかった場合にその理由を記載する.
      
   (ウ)薬剤投与を実施した場合は、投与した場所、時刻、投与後の傷病者の変化について、心電図、脈拍 の有無、その他必要と思われる事項を記載する.

 (4)共通項目
 ア 初療医師所見欄
     認定救急救命士が気管挿管または静脈路確保・薬剤投与を実施し、医療機関に搬入されてきた傷病者の状態について、換気状態や気管内チューブの固定方法、また静脈路確保の手技や薬剤投与の適否について所見を記載する.
   記載例)
    ・換気状態は良好であったが、固定が不十分で事故抜管の可能性があった.
    ・バックバルブマスクで換気されてきたが、腹満が認められた.
    ・薬剤投与1分後に心拍が再開し、適切な静脈路確保、薬剤投与が行なわれている.

 イ 備考欄
   検証票別紙の項目以外に参考となる事項を記載する.
  記載例)
   ・挿管後右呼吸音は聴診できたが、左呼吸音は聴診できなかったため、 2cm抜去した.
   ・ 1回目薬剤投与1分後に自己心拍再開し心電図は洞調律になったが、その後心静止になり2回目投与した.
   ・ 2回目薬剤投与指示を○○救命救急センターより受ける.
   ・ 3回目の薬剤投与のため指示を受けるも直後に自己心拍が再開したため非投与.
救急救命士の薬剤(エビネフリン)投与の実施について
平成1 7年3月10日 
厚生労働省医政局長
i
 標記に関し、今般. 「救急救命士法施行規則の一部を改正する省令」 (平成1 7年3月10厚生労働省令第2 6号)及びイ救急救命士法施行規則第2 1条第3号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する薬剤」 (平成1 7年3月1 0日厚生労働省告示第65号)等が公布(別紙(官報写))され、平成1 8年4\月1日より施行されることとなった.
 ついては、本件の趣旨.内容及び留意点について御了知のうえ、消防主管部局とも連携し.所定の講習.実習を修了する等の諸条件を満たした救急救命士が薬剤投与を適切に莱施できるよう取組をお願いするとともに、医療機関等関係方面への周知徹底及び指導方よろしくお願いしたい.
 記
第1 改正の趣旨及び内容
   「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」 (座長 松田博青 日本救急医療財団理事長)の報告書(平成15年12月26日.以下「報告書」という.)を踏まえ、重度傷病者のうち心肺機能停止状態の患者を対象として、救急救命士法施行規則(平成3年厚生省令第4 4号)第2 1条第3号として. 「厚生労働大臣の指定する薬剤の投与」を規定し、新たに「救急救命士法施行規則第2 1条第3号の規定に基づき、厚生労働大臣の指定する薬剤(平成1 7年3月1 0日厚生労働省告示第65号)」として「エビネフリン」を定めるものである.
第2 留意事項
1 メディカルコントロール体制の整備について
  薬剤投与については.救急救命士法(平成3年法律第36号)第44条第1項に規定する医師の具体的な指示を受けなければ行ってはならない救急救命処置(特定行為)であることから、実施に際して、常時継続して医師の具体的指示が受けられる体制の整備はもちろん、プロトコールの作成.事後検証体制、再教育体制等の整備など.メディカルコントロール体制の整備が実施の前提条件となることに十分留意されたいこと.
  なお、こうしたメディカルコントロール体制の整備については、 「メディカルコントロール協議会の設置促進について」 (平成1 4年7月23日消防庁次長・厚生労働省医政局長連名通知)、 「メディカルコントロール体制の整備について」 (平成1 5年7月2 8日消防庁次長.厚生労働省医政局長連名通知)等において周知してきたところであるが、特に薬剤投与については、報告書にもあるとおり、 「薬剤投与が除細動や気管挿管に比較しても.誤投与が生じた場合の影響が不可逆的であるなど、より危険を伴う行為」である.このため、薬剤投与の実施に係るメディカルコントロール体制の充実強化については.別途通知するので参考にされたい.

2 薬剤投与の実施のための講習及び実習要領並びに修了の認定等について
  薬剤投与の実施のための講習及び実習要領並びに修了の認定等の具体的運用については、別途通知するので参考にされたい.

3 薬剤投与の対象について
  薬剤投与の対象となる患者は、心臓機能停止の状態である患者に対して行うことが認められるものであること.
第3 実施時期等
   実施時期は平成1 8年4月1日とする.
   実施時期以前は、薬剤投与は一切認められないこと.ただし、その実施に係る事前の講習及び実習については、その限りではなく、この場合においては、都道府県メディカルコントロール協議会、受入施設等と十分協議すること.
第4 その他

 1 関連する通知の改正について
 (1) 「救急救命士法の施行について」 (平成3年8月1 5日健政発第496号厚生省健康政策局長通知)の第5の2を次のように改める.
   「救急救命士は、医師の指示の下に救急救命処置を行うものであるが、そのうち、規則第2 1条に規定する心肺機能停止状態の患者に対する次の救急救命処置については、特に医師の具体的な指示の下に行わなければならないものであること.
  @ 厚生労働大臣の指定する薬剤を用いた静脈路確保のための輸液
  A 厚生労働大臣の指定する器具による気道確保
  B 厚生労働大臣の指定する薬剤の投与
  なお、 @、 A及びBについては、別途告示するものであること.」

 2 「救急救命士養成所の指導要領について」の改正について
   「救急救命士養成所の指導要領について」 (平成3年8月1 5日健政発第4 9 7号
 厚生省健康政策局長通知)の別表1を別添のとおりに改める.
以上